社労士試験に一発合格するためのポイント
合格率5%を切るような難関国家試験では、「一発合格は難しい」というイメージが先行しています。
その考え方にとらわれてしまうと、大量の知識を習得しないといけないとか、難問もある程度正解できるような実力を身につけないと思ってしまいがちです。
でも、この勘違いが合否を分けるポイントになりますので注意が必要です。
あくまで競争試験であること
社会保険労務士試験は競争試験です。たとえば6割以上得点した受験生は全員合格というものではなく、明らかに合格率を基準に合否を出しています。
つまり他の受験生との争いということになります。
そのためには、細かな知識をたくさん習得することに意識を向けるのではなく、他の受験生が正解できる問題は確実に正解できる力、社労士試験特有の足切りに対応する力や、制限時間内に問題を解く力など、じつは幅広い対応力が本番では要求されるのです。
そのなかでもやはり中心となるのは、
問題肢について正誤の判断ができる正確な知識をどれだけ確実に身につけたかが勝負を分けることになります。
あやふやな知識をいくら持っていても本試験ではまったく役に立たないということを知るべきです。
そして、勉強に費やすことができる時間は無限ではありませんので、その知識量を限られた時間のなかで効率よく習得しなければなりません。
同じ勉強のやり方で勝とうとしたら、その人の頭脳が卓越して明晰であるか、他の受験生以上に勉強の量を増やすしかありません。
同じ土俵で戦うということはそういうことだと思います。
そしてほとんどの場合、人一倍努力することでしか勝つことができないのです。
そして多くの受験生は、同じ土俵で勝負しようとしています。
十分な勉強時間が確保できる方はそれでよいでしょう。
しかし、仕事や家事、育児などで十分な勉強時間が取れない方も多いはずです
でも、勉強のアプローチの仕方を変えることで違う土俵に乗ることができると思っています。
私の場合ですが、1回目の受験では、択一式の得点は36点(約5割)と合格ラインとは程遠い結果でした。しかし2度目の受験では、択一式は57点(約8割)と合格ラインを大きくクリアすることができました。
でも、2度目の受験で、私が他の受験生を圧倒する学習量を誇ったわけではけっしてありません。
他の受験生とは違うアプローチをし、それを実践できたから結果が出せたのだと信じています。
問題演習中心学習
我々は、小さなころからテキスト中心の学習方法に馴れてきました。それは当たり前すぎて、疑うこともあまりしてこなかったように思います。
しかし、これからご提案する学習法はその常識とは離れたものになります。
まず、テキストを通読する時間はできる限り省き、初めからガンガン問題演習に取り掛かっていきます。
場合によっては、例えば再受験生で各科目の全体像が把握できているのであれば、テキストの通読はやめて、最初から問題演習中心の学習でよいでしょう。
逆にまったく知識ゼロの初学者で勉強開始が早いのであれば、全体像を把握するためにまず社労士試験の入門編などで試験全体のイメージをつかまれてもいいでしょう。
このあたりは、各人の学習進度によっておそらく違ってくるはずです。
いずれにせよ、テキストを理解してから、あるいは何度か読んでから問題演習に移行するのではなく、学習の初期から問題演習中心の勉強をする方法が問題演習中心学習になります。
とはいっても、
「自分はまだまだ理解が足りないから」
「問題演習をやっても、どうせ解けないから」
このような理由で、普通はどうしてもテキスト中心の学習になってしまいがちです。
また、みなさんがこれまで学校の勉強などでやられてきた学習方法も、このテキスト中心の学習だったのではないでしょうか?
「いや、自分はテキストを読むと同時に問題も平行して解いている」といわれる方もいるでしょう。
しかし、それはあくまでテキスト読みが基本であって、テキストは読まずに問題だけ解けといわれたら抵抗があるのではないでしょうか?
実際に、テキストを何回か読んでから過去問題なりを解かれるとよくわかると思いますが、最初からスラスラ問題が解ける人はごく稀でしょう。(テキストを何度か繰り返し読んでも、ですよ!)
ましてや、1回テキストを読んだだけで問題が解けるとは考えないほうが無難です。
このように、テキストを読んで内容を理解できたと思っても、問題が解けるレベルとは、大きな隔たりがあるのです。
ここを理解していないと、問題演習を本格的に始める4月や5月になって、あまりに問題が解けなくてビックリということが起こりえるのです。
この勉強法では、できる限り早い時期から問題演習を学習の中心軸に置きます。
そして、本番の擬似体験をドンドン積んでいくのです。これによって実践力を鍛えていきます。
「テキストをよく読んでも解けないのに、最初から問題演習をしても、もっと解けないではないか」こう思われるかもしれません。
しかし、最初から解く必要はないのです。
最初は問題集を読んでいくのです。そして、本番の擬似体験をドンドン積んでいくのです。
今までの、テキストに該当する存在が問題集となります。
テキストが問題集なのですから、問題を解くのではなく、読み込んでいくのです。
テキストはどういう存在になるのか?
それは、ある意味、「辞書」と呼べるかもしれません。「辞書」ですから、全部の内容を暗記する必要もありません。
これは決してテキストを軽視している勉強法ではありません。
初めから最後までじっくり何回も繰り返して通読するのではなく、必要に応じてテキストを参照することになります。
まずは試験科目の骨格を問題演習で固め、徐々に知識の中身を充実させていきましょう。
テキストをじっくり読んでいる時間を省略しますので、通常の学習方法を取っている他の受験生と比べ、はるかに大量の問題演習をこなすことができます。
読み物としてみた場合、通常はテキストよりも問題集のほうが早く最後まで読み切ることができるでしょう。
ですから、早く繰り返すことができます。これを繰り返すことで実力は加速的についていきます。
大量の問題をこなすということは、同じ出題範囲をさまざまな角度から学んでいくことになります。先に述べた「やや難しい問題」は基本事項の発展形であったり応用問題であったりします。
大量の問題を解くことで、この応用力を身に付けることができます。
読み物としてみた場合、通常はテキストよりも問題集のほうが早く最後まで読み切ることができるでしょう。
ですから、早く繰り返すことができます。
これを繰り返すことで実力は加速的についていきます。大量の問題をこなすということは、同じ出題範囲をさまざまな角度から学んでいくことになります。
さらに、問題演習で得られた知識を繰り返すことで、知識の定着が図られるとともに理解が深まります。
繰り返すなかで「わからなかったポイントを理解できる」ことが多くあります。
ただ、従来の学習法を確立されている方には不安なの多い学習法かもしれません。
そこで、一気に新しい学習法に移行するのは不安だと思われたら、段階的に実施するというやりかたもあります。
まず、「安衛法」「労働一般常識」「社会一般常識」の科目は問題演習オンリーで、他の科目はまず後述の「高速回転学習法」でテキスト読みを実施したのち、できるだけ早く問題演習中心学習に移行するというやりかたです。
また、初学者の場合、年金科目あたりは問題演習前に全体像の把握をすませておくと、問題演習が多少スムーズになるかもしれません。
いずれにせよ、問題演習に学習軸を置くことで、他の受験生を圧倒する問題量を誇ることができます。
しかも、繰り返し行うことで質(得点力)も向上します。
「他を圧倒する問題の量と質」、いわば「とんがったもの」を、あなたは手に入れることができるのです。
難問の増加傾向への対応策とは?
社労士試験の問題のレベルは20年前と比べるとはるかに難しくなってきています。
それ以前は過去問題をマスターしておけばかなり勝負できるレベルまでいけたのですが、今はそれだけではまったく合格確実というレベルにはとてもいけません。
今や、どの科目も難度の高い科目といわざるを得ないのかもしれません。基本問題が解けて足切りを回避できたとしても、トータルでは6割(42点)以上の得点を取る必要があります。
そこで、「やや難しい問題」にもある程度対応できる実力を身に付けておきたいところです。
実際に設問ごとの難易度を調べてみると、「基本問題」、「やや難しい問題」、「非常に難しい問題」があります。これらの問題をどのように解けば合格点に達するかを考える必要があります。
そこで、
- @多くの受験生が得点できる基本問題は落とさない
- Aやや難しい問題にもある程度対応できる実力をつける
- B非常に難しい問題は捨てる
- C本試験では、足切りを意識した解答を心がける
といったことを前提に学習を進めることができれば、確実に『合格力』は上がります。
当たり前に思えますが、じつはこの点は重要なポイントです。
では、具体的にみてみましょう。
@多くの受験生が得点できる基本問題は落とさないまず、基本問題は落とさないという点ですが、特に再受験者の中には、細かい知識を追ってしまうという傾向があると思います。
たしかに、本試験ではかなりの難問も出題されます。
そういった難問を目の前にすると、細かい知識までカバーしておかないととても本番に対応できないと思ってしまうのです。
しかし、先にもご説明したように各科目ともすべてが非常に難しい設問で構成されているのではなく、基本問題を確実に得点することで足切りを回避することができます。
そして、それは合格ラインの近くまでは力をあげていけることを意味しています。
ただ、基本問題をマスターするだけでは、なかなか合格ラインまでには達しないということが現実としてあるのではないかと思います。
そこで、「合格ラインの近く」から、いかに「合格ライン」までいくかという戦略を考えることが必要になってきます。
Aやや難しい問題にもある程度対応できる実力をつけるつぎに何が基本問題で、何か難しい問題なのかという点があります。
よく言われるのは、『過去問題』は基本問題で、細部を問う問題は難しい問題であるといわれます。
しかし、現実には過去問題にも細部を問う問題はあるわけで、何をもって難しい問題というのかは定義が難しい面があります。
ここで、角度をかえて出題範囲をみてみましょう。
すると、未だに、出題の多くは基本事項の範囲からの出題であることがわかります。
試験が難しくなった理由は、過去問題ズバリではなく、
基本事項をひねってみたり判断に迷う記述が入っていたりと、角度を変えて応用力を問う問題が増えている」ということになります。
基本事項を表面的ではなくしっかり理解しているかどうかが問われているわけです。
そして、その力を養うには、大量の問題演習実践が最も効果的だと考えます。
B難しい問題は捨てるここでいう「難しい問題」とは、細部の知識を問う問題です。
多くの受験生はできませんので、できなくても合否には直接影響してきません。これは、勉強の段階で意識しておくべきことです。
過去問題の繰り返し学習は、合?体験記では定番ともいえる勉強方法ですが、二度と出題されないのではないかという難問も含まれていることを認識する必要があります。
攻略すべき過去問題とは、繰り返し出題が予想される問題です。
すべての過去問題を完璧にする必要はないのです。
社労士試験範囲の広さに圧倒される
社会保険労務士は今や難関国家資格です。
社労士試験の合格率を見ると平成27年度の2.6%に代表されるように低合格率であり、今後も5%を切る可能性は高いと予想されます。
数ある国家試験の中でも難易度はやや高めで試験範囲も広い事から、試験範囲の広さに圧倒され受験前に挫折してしまう人も多いと言われています。私の周りでも、結構社労士試験に挑戦しようと思ったけどあきらめという人は多いですね。
市販のテキストを買って勉強を始めたけど、あまりに試験範囲が広すぎて、勉強することが多すぎて、テキストも途中まで読んであきらめたという話が多いです。
年金科目だけでもかなりのボリュームなのに、他に労働基準法という判例まで含めた出題がされる科目や、複数の法律を一括りにした一般常識科目なるツワモノの科目までラインナップされています。
大きく、労働保険科目と社会保険科目に分類されますが、片方の科目だけ合格するような税理士試験のような科目合格制度はないので、一発で合格ラインを越えなければなりません。
まずは社労士試験に合格することを考える
社会保険労務士は難しい国家試験と考え、自分自身を追い込んでしまいがちですが、勉強方法にも種類やコツがあります。
試験範囲が広くても、ある程度の傾向は過去の試験問題を見ればなんとなくイメージはつかめてきます。
今はインターネットでも過去の試験問題や出題傾向を調べる事ができますので、ネットでの情報収集は欠かせません。
一方、資格スクールの先生の中には、社労士試験合格だけを考えるのではなく、合格後も資格を生かせるように、受験勉強のときから条文は常にひも解きチェックすること、疑問点は深くわかるまで徹底的に調べてわかるようにすることが大切と助言することもあるようです。
しかし、私はとにかく合格することが第一だと考えます。
合格後のことは合格してから考えるべきで、理想がどんなに高くても合格できなければただの人です。
「最短で効率よく合格できることを最優先することが最も大切」だと私は考えますが、あなたはどう考えますか?
テキスト中心の勉強では、実施の本試験レベルの問題は全然解けないです。
これでは、見事なまでに解けないですね!
ですから、学習初期から問題演習を学習の基軸に置いて勉強していくことをお勧めします。
テキストの内容を理解しないうちから問題を解いてもどうせ解けないという思いがあると思いますが、
問題演習の最初から問題をスラスラ解けるなんてことはないのですから、解けなくても問題ないと思った方がいいです。
学習を始めたばかりのころは、多くの受験生はテキストの情報をインプットすることで精いっぱいで、そもそも
問題を解くどころじゃない、という人も多いと思います。
ですが、問題が解けなくても全く問題ありません。
「何が問われるか」を理解していくことが大事だと思います。
テキストで一つの項目や単元が終わったら、過去問の該当する問題にあたります。
このとき、問題が解けるかどうかは関係ありません。いきなり解説を開いてもかまいません。
何をするかと言うと、問題としては、何を問われるかを確認するということですね。
そして、余白に過去問題であれば出題年度を書いておくとか、テキストにかかれていないことは追記するとかの作業をしていきます。
すると、情報が一元化できるんですね。
後から、テキスト読みのときに、テキストのインプットと同時に、 何を意識して覚えればよいのかも確認できるようになります。
また、本試験を突破するには、確実な知識というものがいかに重要かも意識してほしいです。
社労士試験は難関試験だからとやたらと細かい知識を追い求めてしまいがちです。
確かに本試験で出題される難問をみてしまうと、
「ここまで細かい知識が必要なのか?」
と思ってしまいます。
これは心理的に正常なんですが、手を広げてしまうことで基礎的な知識を確実に習得するという意識が希薄になってしまいがち。
何をおいてもまず基本を完璧にしていることが大事なんですね。
基本知識があって、それを使ってどれくらい考えられるか、が求められると思ってください。
では、基本知識とは何かってことですが、それは汎用性のある知識だと思ってもらっていいです。
知識と言うと、「暗記」と考える人は多いのですが、実は汎用性・拡張性がありません。
だから、暗記で対応しようとすると、大量に覚えなければいけないという負のループに陥ってしまうのです。
大抵の人は、その途中で学習に挫折してしまいます。
知識とは、単なる暗記ではなく、考え方の根本を身につけることです。
では、知識はどうやって身につければよいのでしょうか。
テキストを読むのでも、問題を解くのでも、やりっぱなしにしないことがポイントになります。
分からない点や、躓いた点は徹底して見直しをすることです。
そこで、分からなかった理由、躓いた理由が分かれば、あとは、その対処方法を考えれば良いことになります。
それは、覚えなおすことだったり、考え方の勘違いを正すことだったり、人それぞれです。
ここで、「分かった気」になってやりっぱなしにしてしまうと、何度でも同じ間違いを繰り返すことになります。
そうなると、学習の意欲もだんだんと失われてくるという悪循環に陥ります。
過去問演習では、どのポイントで間違えたのか、考え方は合っていたのか、その検討にこそ時間をかけるべきです。しかもスピード感を持って進めるといいですね。
本試験で同じ問題が出ることは稀でしょうが、考え方は応用次第で様々な問題に対処できるからです。
また、出来ている問題に多くの時間を割く必要ないので、次回見直しや再度問題を解いてみる時には飛ばせるよう、自分で決めたマークで問題を分類しておくのが良いでしょう。
応用力が身に付くというわけですね。
また、ある程度学習が進んで来ると、インプットした知識に引きずられて、考えがおろそかになる結果、以前は正解出来た問題を間違えることがあります。
そういう時も、考え方の基本となるものは何か、を良く考え、知識を整理しなおしましょう。
「ただ知っている」という状態から、「自分の道具にする」ということをイメージしてみてください。
学習には伸び悩む時期が必ずあります。
そんな時期こそ、基本知識を定着させることを意識してみましょう。