こんな不安、ありませんか?
退職や転職を考えたとき、こうした不安を抱えるのはごく自然なことです。
「生活費はどうしよう」「自分に合った仕事が見つかるだろうか」と、将来が見えずに焦る気持ちになる方も多いでしょう。
そんなあなたに、安心できる解決策があります。
これらの不安を解消しながら、新しいスキルや資格を身につけて納得のいく再就職を目指せる制度が用意されています。
しかも、経済的なサポートを受けながら、未経験分野へのチャレンジもできる――
そんな「安心の仕組み」が、今の日本には存在します。
それは「職業訓練」です。
職業訓練(ハロートレーニング)は、国が雇用のミスマッチ解消に本気で取り組み、誰もが利用しやすいように整備された公的な制度です。
退職後の不安や、失業保険がもらえない場合の救済、スキルアップや資格取得、手厚い就職支援まで
あなたの「再スタート」をトータルでサポートします。
職業訓練の受講で得られるメリット
1. 生活支援・経済的メリット
職業訓練を受ける最大のメリットは、一定の収入を確保しながら、安心してスキルアップと就職活動を両立できることです。
これは、失業中や転職活動中の方にとって、他のどの制度にも代えがたい大きな安心材料となります。
この経済的な支援以外にも、訓練期間中には訓練校が失業保険の手続きを代行してくれるなどの支援も含まれます。
なお、これらの支援には一定の条件がありますが、詳しくは職業訓練を【受講指示】で受ける条件と5つのメリットを徹底解説で詳しく説明しています。
以下の図表は、訓練期間における給付日数の延長のイメージを示しています。
給付制限期間中であっても、職業訓練を受講すると、訓練開始日から失業保険の受給が開始されます。
失業保険受給期間の比較(給付制限中に職業訓練が途中開始の場合)
通常の失業保険受給(給付制限あり)
1ヶ月
90日
訓練開始(給付制限後半受給開始)から全期間で失業保険受給
から訓練修了まで全期間で失業保険受給
※職業訓練受講開始日(給付制限後半)から訓練修了日まで、全期間で失業保険が受給できます。
求職者支援制度の給付金
雇用保険の受給資格がない方や、失業保険が切れた方も「求職者支援制度」を利用すれば、月10万円の職業訓練受講給付金+交通費が支給されます(収入・資産などの条件あり)。
これにより、無収入期間の心配なく、安心して訓練と就職活動に取り組めます。
支援内容 | 公共職業訓練 (雇用保険受給者) | 公共職業訓練 (雇用保険非受給者) | 求職者支援訓練 |
---|---|---|---|
授業料 | 無料 | 無料 | 無料 |
失業保険 | 訓練期間中は延長支給 | なし | なし |
職業訓練受講給付金 | なし | 条件を満たせば支給 (月10万円) | 条件を満たせば支給 (月10万円) |
交通費 | 最大42,500円/月 | 最大42,500円/月 | 最大42,500円/月 |
受講手当 | 最大2万円 | なし | なし |
※公共職業訓練は、雇用保険受給者でなくても受講できます。
※職業訓練受講給付金は、雇用保険を受給できない方で、収入や資産など一定の要件を満たす場合に支給されます。
※受講手当は雇用保険受給者のみ対象です。
※延長給付を受けるためには一定の条件が必要です。
就職活動とスキルアップの両立
職業訓練では、訓練期間中も就職活動が奨励されており、面接や会社説明会への参加も可能です。
生活リズムの維持・精神的な安定
手厚い就職支援
職業訓練受講のデメリットや注意点
- 訓練期間中の収入は基本的に現職より減少する
訓練中は失業給付や給付金が支給されるものの、現職時の給与よりも収入が減るケースが多いので、生活費の見直しが必要です。
失業保険(雇用保険の基本手当):前職の給与のおよそ50~80%が目安ですが、具体的な金額は年齢や退職時の賃金によって異なります。
例えば、月収30万円の場合、月あたり約20万円程度が支給額の目安です。なお、アルバイトなどで追加収入を得ることは可能ですが、ある程度の制約があります。
詳しくはこちら⇒ 職業訓練中のアルバイトの注意点/落とし穴に気を付けろ! - 失業保険がもらえない方向けの職業訓練受講給付金の要件は厳しい
職業訓練受講給付金は、収入や資産などの条件を満たした場合に限り支給されます。
かなり厳しい要件ですので、事前に自分が対象かどうか確認しましょう。
詳しくはこちら⇒ 職業訓練受講給付金をわかりやすく解説|条件や手続きの流れは? - 訓練を受けたからといって必ず希望する職に就けるとは限らない
訓練を受けても、希望する職種や企業に必ず就職できるとは限りません。
就職活動の努力やタイミングも重要です。 - 訓練校やコースによっては選考倍率が高いこともある
人気のある訓練校やコースは応募者が多く、選考に落ちる場合もあります。
早めに情報収集し、複数の選択肢を検討しておくと安心です。

職業訓練は、「生活の安心」「スキルアップ」「就職支援」の三本柱で、あなたの再就職を徹底的にサポートする制度です。
特に、訓練期間中の収入確保と失業保険延長は、焦らずじっくりと納得のいくキャリア選択を可能にする、他にはない大きな魅力です。
「何から始めればいいかわからない」という方も、まずは住所地管轄のハローワークの相談窓口を訪れてみてください。
実際の訓練受講事例と成功体験

長年アパレル販売員として働いていたAさんは、子育てと仕事の両立で土日休みが必要になり、事務職への転職を決意。
しかし、事務職は未経験者には狭き門と言われており、さらにパソコンスキルにも自信がなかったため、不安を感じていました。
そこで、ハローワークの紹介で「OA事務基礎科」の職業訓練を受講。
Word、Excel、PowerPointといったパソコンの基本操作だけでなく、ホームページ作成や画像編集、ビジネスマナー、コミュニケーションスキルなど、幅広い知識と実践的なスキルを基礎から学びました。
また、企業実習も経験し、実際の業務を体験することで自信を深めました。
訓練中は就職支援プログラムで履歴書の書き方や面接対策も受け、同じ目標を持つ仲間と励まし合いながら就職活動に取り組みました。
修了後は、未経験ながらも訓練で身につけた幅広い知識と実践力が評価され、一般事務職(正社員)として就職。
「未経験でも、しっかりとスキルを身につければ自信を持って再就職できると実感しました」と語っています。

子育て経験を活かし、「子どもと関わる仕事がしたい」と考えたBさん。50代という年齢での再就職に不安もありましたが、ハローワークで2年間の長期高度人材育成コース(保育士養成コース)を紹介され、思い切って受講を決意。
学費は無料(教科書代などは実費)で、学内の認定こども園での実践授業や、少人数制ならではの手厚い就職サポートを受けながら、国家資格「保育士」の取得を目指しました。年齢的な体力や勉強の面で苦労も多く、特に実習や試験勉強は大変でしたが、同じ目標を持つ仲間や先生方のサポートに支えられて乗り越えることができました。
また、2年間の訓練期間中、失業保険を受給できたことが本当に助かりました。経済的な不安が少なかったからこそ、安心して勉強と実習に集中し、最後まで続けることができたと感じています。
卒業後は地元の保育園に正社員として採用され、「50代でも新しい資格を取って、子どもと関わるやりがいのある仕事に就けて本当に良かったです」と笑顔で話しています。

長年事務職として働いてきたCさんでしたが、会社都合で退職することに。これを機に新たな分野での再就職を目指し、医療事務の職業訓練(3カ月コース)を受講しました。
訓練では、診療報酬請求やカルテ管理、医療用語など、医療事務の基礎をしっかりと学び、関連資格も取得。
医療事務は未経験でも資格があれば再就職しやすい職種と言われており、Cさんも実際に、資格と訓練で身につけた実践力を評価され、未経験からでもスムーズに再就職することができました。
訓練中はクラスメートと励まし合い、キャリアコンサルティングや就職活動支援も受けながら、安心して就職活動に取り組むことができました。
現在は地元クリニックの医療事務職として活躍中。
「未経験でも資格と実践力が身につけば、働きやすい職場に出会えることを実感しました」と話しています。

製造業で長年CAD業務に携わっていたBさんは、将来性や人手不足が叫ばれるIT分野へのキャリアチェンジを決意しました。
しかし、プログラマー職は未経験者にとって「雇用のミスマッチが起きやすく、若手が有利」と言われる分野。
転職活動では年齢や経験の壁を感じる場面も多く、不安や苦労が絶えませんでした。
そんな中、ハローワークで紹介された「プログラミング基礎科」の職業訓練に応募。
これまでのCAD業務で培った論理的思考やものづくりの経験を活かしつつ、JavaやWebアプリ開発、データベースの基礎など、IT業界で求められるスキルを一から学びました。
訓練中はチーム開発や模擬プロジェクトにも取り組み、実践的な経験を積みながら、自分の成果をまとめたポートフォリオも作成しました。
職業訓練で新たなスキルを磨き、ポートフォリオという「見える形」で実力を証明できたことが、未経験でも再就職の可能性を大きく広げる結果となりました。
修了後は地元IT企業のプログラマー職に就職。
「未経験からでも、訓練でしっかり学べば安定した職に就けることを実感しました」と語っています。
職業訓練の仕組みとは?
いま、国が力を入れるキャリア再出発の最前線
職業訓練は、失業中や在職中の方、失業保険がもらえない方も含めて、幅広い人が利用できる制度です。
ハローワークで求職登録をすれば、無料または低コストで実践的なスキルや国家資格を身につけられるコースを受講できます。
IT・事務・医療事務・介護・保育・プログラミングなど、多様な分野のコースが揃っています。
国は現在、企業が求める人材像と求職者のスキルのギャップ(雇用のミスマッチ)を解消するため、職業訓練の拡充と利便性向上に力を入れており、誰もが利用しやすい制度へと進化しています。
最近では、受講生が年々増えており、2020年度の職業訓練受講者数は約110万人で前年より10%増加。
対面式の講義だけでなく、企業実習付きやオンライン訓練も普及し、地方や子育て世代も利用しやすくなっています。
受講期間は2ヶ月から7ヶ月が多いですが、2年間の長期コースもあります。
職業訓練の情報を収集する方法
よくある質問(Q&A)
- Q失業保険(失業手当)は、どんな場合にもらえますか?どんな条件が必要ですか?
- A
失業保険(失業手当)を受給するためには、主に以下の条件をすべて満たす必要があります。
- Q年齢制限はありますか?
- A
職業訓練に年齢制限はありません。10代からシニア世代まで、幅広い年齢層が受講しています。
コースによっては「若年者向け」「中高年向け」など世代別の訓練もあるため、対象年齢や内容を事前に確認しましょう。
- Q未経験でも大丈夫?
- A
未経験者向けの基礎コースが多く、現役講師が基礎から丁寧に指導します。
パソコン、IT、介護、医療事務、製造、建設など、まったくの未経験からでも安心して学べるカリキュラムが整っています。
- Q受講中に就職活動はできますか?
- A
可能です。職業訓練は再就職を目的とした制度なので、訓練期間中も面接や会社説明会のための外出が認められています。
就職が決まった場合は、訓練を途中で終了して入社することもできます。就職活動の進め方や応募書類の作成、面接対策もカリキュラムに含まれているので、スキルアップと就活を両立できます。
- Qどんな訓練コースがある?
- A
パソコン・事務、医療事務、介護、保育、プログラミング、製造、建設、デザイン、Web関連など多彩な分野があります。
資格取得を目指すコースや、企業実習付き、短期・長期コース、オンライン対応コースなど、目的やライフスタイルに合わせて選べます。
- Q失業保険がもらえない場合は?
- A
「求職者支援制度」が利用できます。雇用保険の受給資格がない方や、失業保険が切れた方でも、本人や世帯の収入・資産など一定の条件を満たせば、月10万円の職業訓練受講給付金と交通費の支給を受けながら訓練を受講できます。
出席率や収入制限など細かい条件があるため、事前にハローワークで確認しましょう。
- Q申し込みから受講までの流れは?
- A
- 最寄りのハローワークで求職登録・職業相談
- 希望コースの選定と申込
- 筆記試験や面接などの選考
- 合格通知を受け、ハローワークで受講あっせん
- 訓練開始・スキル習得・就職活動スタート
申し込みから受講まで、ハローワークのサポートを受けながら進められるため、初めての方も安心です。
コースによっては学歴や資格などの条件がある場合もあるので、早めにハローワークで確認しましょう。
- Q訓練を途中で辞めたり、就職が決まった場合は?*
- A
正当な理由があれば途中で辞めることも可能です。就職が決まった場合は速やかに訓練校に報告しましょう。訓練修了後は修了証が交付され、履歴書にも記載できます。
- Q就職支援やキャリア相談は受けられますか?
- A
各訓練校にはキャリアコンサルタントが常駐し、就職支援やキャリア相談を実施しています。求人紹介やマッチング、面接対策、自己分析など、さまざまなサポートが受けられます。登録料や紹介料は一切かかりません。
- Qどんな資格が取れますか?
- A
訓練修了時には修了証が交付されます。コースによっては、介護職員初任者研修や医療事務、IT系国家資格など、就職に有利な資格取得を目指せるものもあります。
資格取得は任意で試験を受ける必要があるため、詳細は訓練校やハローワークで確認してください。
まとめ
職業訓練は、退職後や在職中の不安、失業保険がもらえない場合にも頼れる、
安心してスキルアップと就職活動を並行できる制度です。
特に、訓練期間中は失業保険の受給期間が延長されるため、生活費の心配をせずにじっくりと自分に合った職場探しやスキル習得に集中できます。
国が雇用のミスマッチ解消に本気で取り組み、利用しやすくなった今こそ、焦らずじっくりと自分に合った道を選びましょう。
「何から始めればいいかわからない」という方も、まずはハローワークや訓練校の相談窓口を訪れてみてください。
あなたの一歩が、未来を大きく変えるきっかけになります。
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