問題集はまず解かない
ここでは、具体的な社労士問題集の解き方について書いていきます。
問題集を解く場合に、
「テキストで学んだことを問題演習で実力試しする」
という社労士受験生が多いのですが、それは大きな間違いです。
まず、初回のときは、まず「問題を解く」という意識を捨てて下さい。
この段階でへたに問題を解こうとしてもまったくできなくてショックを受けるだけです。
なぜなら、
数回テキストを読んだくらいでは、問題はほとんど解けないからです。
多くの受験生が、これで自信をなくしてしまったり、勉強する意欲をなくしてしまったりするのですが、自信喪失する必要はまったくありません。
「できなくて当たり前!」と割り切ったほうがいいです!
そこで、1回目、2回目あたりのときは、問題を解くという意識を捨てて下さい。
問題集は、「問題と解説のついたテキスト」だと思って読めばいいのです。
問題を解くのではなく、問題の各肢と解説を「読んでいく」という意識でいいのです。
こうして1回目が一巡したら、次の2回目あるいは3回目からは実際に問題を解いていきます。
(やっと解ける段階に入りました)
そして正解した問題には、問題文の文頭にチェック印を記入します。
(たまたま正解したものは正解とはしません)
ここでいう「問題」とは5肢で構成された問題全体ではなく、各肢を指します。
ですから、5肢択一の問題で4肢にチェックが入ってもその問題はできたことにはなりません。
最初はなかなか正解できないかもしれません。
しかし、まったく問題ありません。できなくて当たり前だと思うことです。
こうして2回目が一巡したら、今度はできなかった問題だけをやります。(3回目)
そして、できた問題にはチェックを入れます。
これを繰り返すと、できなかった問題はどんどん減っていき、最後はすべての問題にチェック印がひとつ入ります。
この作業が1クールです。
わたしが問題集に取り掛かった当初は、できなかった問題の方にチェックを入れていました。
そして、できるようになったらチェックを消しゴムで消していきました。
ただ、これは失敗でした。
これだと、いちいち消さないといけないのでめんどくさいです。
それより、チェックしていくだけのほうがはるかに楽なので、途中から最初にご紹介したやりかた(正解した方にチェックを入れる)に変えました。(最初に気付けよって感じですか?)
その時に、出題された箇所をテキストで振り返り、出題年度を記入するとともに、出題周辺の記述も読んでおくとよりいいです。
この勉強方法は、かなり時間がかかる方法ではありますが、本試験では過去問題を形を変えて出題されるので、周辺の記述を読んでおくことで、どのように問題が出題されるのかのイメージがつかめてきます。
さて、
こうして書いていると簡単そうに感じるかもしれませんが、やってみるとけっこうしんどいはずです。
同じ問題を繰り返し間違えますから・・・。
でも、すべての問題を一通りやるよりはるかに早く回転できますし、できない問題というのは自分にとって覚えにくいのでできないわけです。
できない問題だけやることで、いやでも記憶が定着していきます。
できない問題ができるようになってチェックを入れるのは気持ちのいいものです。
ただ一度できた問題でも時間を置くとできなくなることがあります。
ですから、この一連の作業を2回、3回と繰り返していきます。
1クール目よりはるかに早くこなせることにお気づきになるでしょう。
わたしの場合は予想以上にこれまで積み重ねた知識が抜けていたため、最後の一ヶ月は地獄の日々を過ごすことになりましたが・・・。
こなした問題量が多ければ多いほど、その復習は膨大になります。
問題量はどれくらいやればいいのかは、各人の学習環境、利用している講座・教材等によって違ってきますので、一概にはいえません。
参考までに、わたしの場合は、問題演習中心の通信講座を受講していましたので、問題量はかなりこなした方だと思います。
概算ですが、択一式の問題量は、一問一答式が3,000問、択一式は350問でした。(これは答練のみの数字です)
他に、携帯式の一問一答式や一般常識の問題集などもやりましたから、全部合わせると5,000肢〜6,000肢位になります。
ここまでやれれば十分だとか、最低このくらいはやらなくてはいけないということではありません。あくまで参考までです。
しかし、テキスト読みの時間を削っていなかったら、とてもこれだけの問題量はこなせなかったでしょう。
ここで、注意点が2つあります。
一つ目ですが、わたしの経験上、問題集は一問一答式がおすすめです。
5肢択一ですと、出題箇所がばらけるため、テキストをチェックするときに該当箇所を探すのに時間がかかってしまいます。
一問一答式の問題集で、条文順やテーマ別に並んでいる形式ですと比較的出題箇所が隣接しているので効率よくできると思います。
たとえば、TAC出版の『ナンバーワン社労士』の過去問題集などは、項目別でさらに10年分が収録されているので使いやすいかと思います。
二つ目は、解説が充実した問題集であること。
簡単な解説の問題集だと、テキスト代わりにならないからです。
特に、社労士講座の答練講座は、比較的解説が充実していて、講義を受講することでさらに理解が深まりますからおすすめです。
つまり、市販の問題集をやるより、講義付の答練講座は費用もかかりますが、一番実力も付くと思います。
(受験生からの相談事例)
やり方なのですが、とりあえず一科目ざっと読んでから二回目の書き込みに行ったほうがいいのですか?それとも一日にできる勉強時間を計算して、その日のうちに同じ問題を一回目ざっと読み、二回目書き込みをした方がよいのでしょうか?
私の考えでは、すべての科目を横断的に繰り返していくのは、通常はもっと後の時期にしたほうがよいと思っています。
といいますのは、高速で問題演習をしていっても、全科目となるとかなりの期間が必要になってきます。
そうすると、繰り返しのインプット力が弱まってしまうのです。
それよりも同じ科目を何度か繰り返してから、次の科目に進んでいったほうが記憶の定着はよいと思います。
つぎに、年間のスケジュールを立ててみましょう。
5月くらいまでに一通り全科目に着手した状態になっていると直前期は楽になります。
今からですと、1カ月に1科目くらいの計算になりますね。
一般常識はご紹介している問題集を軸に別スケジュールで進めていきましょう。
○○さんの場合はかなりの実力がおありのようですので、ざっと問題集を読む作業は1〜2回でよいのではないでしょうか。
ざっと読む場合はスピードを意識して下さい。それは1日かもしれませんし、3日かもしれません。
○○さんのペースがあると思いますので、ご自分でペースを把握しながらスケジュールも微調整していきましょう。
数回、問題集の読み込みをして概略を思い出してきたら、テキストへの書込みをしていきましょう。
この書込みは結構時間がかかりますので多少の覚悟が必要です。
しかし、これをすましておくと後の学習が楽になります。
又、独学の場合は市販の問題集に頼るということになりますので、予想問題集を購入し読んで(!)いきたいところです。
何をもって理解かということですが、
「ただ記憶すると単なる暗記に終わってしまう」とよく言われることですね。
しかし、まずは知識を定着させて、その上で派生的な問題も解けるようになるということが合格には必要ではないでしょうか。
理解するにはまず基本的な事柄を記憶した上でないと理解は難しいでしょう。
基本の幹があるからこそ枝葉のことも推測できると思うのです。
問題演習で気をつけなければいけないのは、5肢択一の演習であれば各肢の正誤が判別できるまでにするということです。
例えばこの設問ではAが正解というようなやりかたでは、○○さんがいわれるような答えを覚えてしまうという無駄な勉強になるのです。
1肢ごとに正誤の判定ができるように仕上げることが本当に完璧に仕上げたということです。
次は、勉強を続けることがいかに大変かというお話になります。