合格体験記 社労士受験生に贈る
まず私が社労士試験の受験を決めた理由なんですが、大学を出て社会人として10年以上経った当時、私の職場では専門知識を生かした仕事を職業にしている方々が多数いて、何となく危機感を感じていました。
もし、何らかの事情で今の職場から投げ出された場合に、自分には何も誇れる武器もないんじゃないか、自分も何か専門的な知識を習得することで自分の資質を高めたいという気持ちが徐々に高まっていました。
最初は自己啓発のつもりで漢字検定2級の資格を取得。次に宅建の試験に初回受験で合格、と自己啓発に努めたものです。
そして、専門色も強く難関といわれる社会保険労務士試験に是非挑戦してみたいという気持ちが強くなってきたのです。
そこでまず、さまざまな合格体験記を読むことからはじめました。
そして、合格者の方の多くが独学ではなく通学か通信で学習されているのを知り、ある予備校の通信講座を受講し学習を開始することになりました。
しかし、なかなか内容を理解することができず、問題演習の絶対量も不足し、1回目の受験では記述式はなんとか合格点に達したものの、択一式は36点と合格ラインには遠く及ばず受験終了時には何点とれたか全く予測できないほどでした。あきらかに実力不足からくる敗戦でした。
焦りばかりが先行して確実な知識を身に付ける大切がわかっていませんでした。
テキストを読んでも理解不能で問題を解いてもゼンゼン解けない・・・合格をあきらめながら勉強してたって感じでした。
そんな状態でしたから当然のことながら試験結果は悲惨でしたね。
1回目の社労士試験の本番で感じたことは、見たことある問題が意外と多く出題されていたこと。
でも、正解な知識じゃないから正誤の判断がしっかり出来なかったんですね。
「どっかでみたことあるなー」という問題が多かったんです。
2回目の社労士受験では、問題演習中心の通信講座(クレアール)を利用して大量の問題演習をこなすよう努めました。
テキスト読みはそこそこに、問題演習に特化する勉強に切り替えたんですが、振り返るとこれが自分の正解だったんだとつくづく思います。
とにかく、繰り返し全問正解できるようになるまでやりました。
できない問題って5回目繰り返しても同じように間違えるものなんですね。これは不思議でした!
できない問題だけ繰り返すようにしたので、特にサブノートも一切作りませんでしたし、受験業界では良いと言われている間違いノート(間違えた論点をノートに書きだして読み返す勉強法)も作りませんでした。
受講したコースは豊富に過去問題を組み込んだ良問で構成されていて、誰も解けないような過去の難問は除外されていました。
5月頃、答練で問題演習はしていたものの、過去問題集を全くやっていなかったので少し不安になり、書店で購入した過去問題集を少しやってみたところ、ほとんどの問題が正解できたのには驚きました。
当然のことながら、それ以降、過去問題集はいっさい使用しませんでした。
答練の問題をしっかりやれば合格するのに十分お釣りがくるくらい内容が充実していましたが、逆にまともに全部こなそうとすると大変です。
問題演習中心の学習で問題はないのですが、テキスト通読とかオプション講座とかにも取り組む場合は、時間配分を考えながら学習進度に合わせ取捨選択しながら活用されるとよいかと思います。
社労士試験勉強の期間は夢中でしたが、ちゃんと勉強計画も立てて、いつも微修正しながら勉強を進めていきました。
11月の試験結果発表をサイトで確認し、そこで自分の名前を確認した時は合格した喜びよりも安堵の気持ちでいっぱいでした。
なぜかというと、択一式で57点と安全圏内の点数が取れましたが、記述式で社一が2点と基準を下回っており、合格ボーダーライン上だったので、大変不安な2カ月を過ごしてきたからです。
2回の社労士受験を通して私が感じたことがいくつかあります。
まず、この試験では択一式、記述式ともに各科目で基準点を設定し足切りを行っています。
択一式、記述式の総合点で合否を判定すれば簡単に実力者を選別できるのに、上記のような大変面倒な判定をするということは、そこに出題者側の強い意図を感じます。
つまり、どの科目についても満遍なく広い知識をもった者を合格者にしたいという意図です。
したがって、合格するために必要なことは、どの科目も均一に得点できる必要があると同時に極端な不得意科目を作らないよう一定のレベルに達する必要があります。
その不得意科目ですが、労安とか一般常識の科目を苦手な受験生は多いと思います。
確かに難しいのでしょうが、勉強していないから苦手になっている受験生も多いのではないでしょうか。
逆にいえばそこそこの勉強をすれば他の受験生と比較して十分得意科目にできるということです。
なぜそう感じたかというと、まだまだ学習が足りないと感じながら受けた一般常識科目の答練の結果において成績上位者に自分の名前をみつけ驚いたことがあったからです。
次に、問題演習を通じて、『確実な知識』が身についているかどうかが大変大切であるということも強く感じました。
5肢のうち4肢がまったく知らない問題でも、残り1肢に完全な正誤の判断ができれば正解に至るケースも少なくありません。
ただこの『確実な知識』は時間を置くと『不確かな知識』に変わってしまいがちですから繰り返し学習することが必要です。
それから直前期の学習が合否をかなり左右すると感じました。
私も直前2ヵ月になってからスーパー答練・実力答練の総復習に入ったところ、前に学習したことをかなり忘れてしまっており大変焦りました。
他にも法改正、白書、一般常識などやるべきことは山ほどあります。
これまでにやった問題だけでも相当の量があり復習にも時間がかかりますので、新しい問題にはいっさい手をつけず、ひたすらできるようになるまで繰り返しました。
それまではどれだけやっても1日5時間勉強するのが限界でしたが、直前1ヵ月の期間は平均すると6時間ほど勉強し何とか詰め込みました。
仕事しながら1日6時間勉強するのは本当にキツイです!早くこの苦しい時期がすぎてほしいと願いながら勉強したものです。しかし、この時期でかなり実力をつけたと思います。
本番直前の1か月はこれまでやってきた問題演習の総復習で全問正解できるようになるよう繰り返しました。
私の場合は問題演習の問題量がかなり多かったため、復習に予想以上の時間が取られ、予定していたテキスト読みは結局できずじまいでした。
でも、問題の復習だけは完璧にしたかったので、最後の1カ月は死ぬ気で頑張りました。
社労士試験直前の最後の日は追い込みで16時間勉強しました。泣けてきました。
それで、本当に試験直前ギリギリで仕上げることができたんです。
本試験はあっという間でした。
自分なりに半分以上は正解できた自信はありましたが確実合格の自信はまったくありませんでした。
不合格なら再挑戦する決意ではいましたが、試験結果発表まで勉強する気にはなりませんでしたね。
ネットで試験合格を知った時はうれしいよりもほっとした気持ちのほうが強かったですね。
合格後は開業もイメージしていましたが、開業講座など受講していくうちに家庭の事情などもあって結果としては開業は見送ることにしました。
同期の合格者はほぼ全員が開業し廃業することなくみんな元気に頑張っています。
振り返ってみると、社労士試験に合格することでいろんなことを学べたし、自信もつきました。
これからの人生に大いに役立っています。
社労士試験に合格したっていうのは、開業以外でも色々の場面で役立つんだなと感じています。
自分にはとても実りある試験挑戦になりました。
何度も試験不合格の憂き目にあっている受験生もいることでしょう。
でも、ストレートに合格しなくても社労士試験合格という結果は必ず得るものもあると思います。
逆に言うと、どれだけ頑張っても合格できなければほとんど得るものがないということ。
とにかく結果にこだわって頑張ってください。
以上色々と述べましたが、勉強方法は各人さまさざまで当然です。
私の場合、過去問題集はほとんど使わず、条文集、白書は購入さえしませんでしたが、いたずらに受験界の定説に固執することなくオリジナルの勉強法を確立されることが大切だと思います。
多くの社労士受験生が悩むことがわかった
このサイトを運営してきて、すでに10年以上が経ちました。
そして、これまでに400人以上の社労士受験生の相談を受けてきました。
私自身もとても勉強になり、みなさんにはとても感謝しております。
ご相談を受けてきたこれまでの経験から、社労士受験生が遭遇する悩みや戸惑いが共通していることを実感してきました。
それは、大きく分けて、
- どのように勉強していけばよいのか?
- 自分にふさわしい社労士講座をどのように選べばよいのか?
という2点です。
一つ目の勉強方法ですが、
私は、社会保険労務士・宅地建物取引士の受験・合格を通して、
国家試験用の勉強法があることに気付きました。
ここで、その一例をご紹介したいと思います。
社会保険労務士試験においては、難問がとけた受験生が合格できるのではなく、みんなができる問題を確実に得点できた受験生が合格できるという点です。
ある難関国家試験の短期合格者は、「基本書の範囲だけをしっかり学習しただけ」で某答案練習会(参加者約800名)でトップクラスを取り続けたという例も聞きます。
受験予備校が実施する模擬試験における、「設問ごとの正解率」を調べてみると、おもしろいことがわかります。
「正解率の高い問題を確実に正解」していけば十分合格点に達するということです。
これって、わかっているようでわかっていない受験生が意外と多いんですよ!
わたしも自分の本試験の解答分析結果を見て、自分自身驚いたのが、正解率の高い問題だけ正解できてるってことでした!
逆に正解率の低い設問は、ほとんどできておらず、5割を超える正解率を出した設問はほとんど正解していました。それで、自分が本試験で8割を超える得点ができたことを改めて知ったのです。
ひょっとしたら、あなたは社労士試験の合格者なら「難しい問題もすらすら解ける人」というイメージをお持ちではないですか?
実際には違う場合が多いように思います。
もちろん、すごくできる人はいるとは思いますが、当然のことながら合格者にとっても、難しい問題は難しいのです。
知り合いの同期合格の社労士は本試験の択一式で9割を超える得点を取ることができました。
でも、本人は9割正解できた意識は全くないんです。「やっぱり本試験って難しかったよね」って感じです。
本試験では正解率が一桁なんていう超難問が確かに存在します。
その難問でも正解できる実力をつけようとするのなら、いったい勉強に何年を費やせばよいのでしょうかって話なんです。
これまで何十万もの受験生が試験を受けて、一人として満点を取れていないんだから、そんな超難問まで解けるようにしようと思うこと自体が間違っていると思うんです。
超難問も正解できて満点を取れるような実力を身に付けるって、合格者のレベルが100だとして、1億以上の実力を身に付けようとするようなものです。
社労士試験の専門家である資格予備校の講師でさえ、本試験終了後の模範解答作成時には、複数の講師で顔を突き合わせ検討をするんです。
それを考えれば、
合格者といっても、難しい問題をすらすら解いていくなんてことはありえないことがわかりますね!
結局、難関の国家試験の場合、受験生の学力レベルと資格試験のレベルの差がありすぎるのです。
どんな実力のある受験生でも満点が取れるように出題が構成されていないので、満点を狙うような勉強の仕方は間違っているのです。
点数の開きが出てくるのは、『基本問題を確実に解けたかどうか・・・。』
結局はその積み重ねなのですね。
効率よく社労士試験に合格したいなら・・
勉強方法って意外と大事だと思います。予算の関係で独学しか選択肢がない受験生もいると思いますが、優秀な通信講座の受験生の環境とはやはり段違いと思います。おそらく倍以上の努力が必要だと思います。
では、どのように社労士講座を選ぶかという点ですが、
これまで10年余り社労士受験業界の動きに注目してきて、2つの大きな時代の流れを感じています。
一つは、
講座の低価格化の流れです。
10年ほど前ですと、大手資格スクールが主流で、通信講座の価格は20万円を超えることが当たり前でした。
そこに、フォーサイトが10万円を切る低価格路線で参戦してきました。
続いて、L・A(エル・エー)も、テキストに市販のテキストを使うという戦略で低価格を実現しました。
2つ目が
通信講座の進化です。
情報機器の発達によって、通信講座のイメージは大きく変わりました。
昔なら、一式の通信講座の教材がまず送付され、次に定期的に添削問題を提出して添削を受けるという形でした。
今は、ネット環境が整ってきていますので、手軽に自宅や移動中でも講義が受講できる環境になりました。
質問もネットの掲示板やメールなどで素早く解決できたりもします。
10年前ですと、社労士試験合格者の8割以上が通学講座受講生で占められていたと思いますが、今は通信講座の受講生の合格者の割合もぐんぐん上がってきています。
このように、時代とともに社労士受験業界も変化してきました。
私自身が10年以上、社労士受験生の支援を続ける中で感じた思いや情報が、これから社労士試験合格を目指す方に、少しでも役立てばいいなと思っています。
誤った情報に振り回されず正しいやり方で熱意を持って取り組めば、きっと社労士試験に合格できます。
社労士資格が本当に必要で、努力されている方をこれからも応援します!