社会保険労務士の試験内容がこれだ!
社労士試験の試験科目は以下のようになっています。
労働基準法
労働基準法は、労働組合法、労働関係調整法と合わせて労働三法のひとつとなっています。
労働者を守るための法律で労働条件の最低基準を定めた法律です。
この労働基準法は、社会保険労務士試験においては、大きな柱となる法律であり、逃れられない科目のひとつです。
しかも非常に範囲が広く、勉強するのには最も時間を費やす科目となっています。
さらに判例まで出題されるので非常に厄介な科目です。
社会保険労務士試験は選択式試験と五肢択一式試験に分けられます。
五肢択一式試験70問のうち労働基準法からは7問、選択式試験8題、40か所の穴埋めのうち3問が労働基準法に関する問題となります。
それほど問題が多いわけではないのに、範囲があまりにも広すぎるために、苦手とする人が多い科目なのです。
労働保険に関する科目には労働安全衛生法や労働者災害補償保険法、雇用保険法など様々な法律がありますが、その科目の中で一番先に勉強した方がいいのが労働基準法です。
社会保険労務士を目指すと決めたら、まずは労働基準法から始めるといいでしょう。
難しい科目ではありますが、仕事をしている社会人の方なら仕事をしていくうえでとても役立つ知識を得ることができるので、詳しくなっておくと何かと有益な科目ともいえます。
労働基準法の勉強方法としては、ただ参考書を見たり、過去の問題集をするだけでなく、まず仕事に当てはめて勉強していくと意外と身に付きやすいです。
自分は労働基準法にのっとった仕事をしているのか、有給休暇は自分はどれだけ取れるのか、来年になればどうなるのか、もし、労働基準法に違反していたらどうなるのか、など現実を想像してみるといいでしょう。
労働基準法をマスターすれば、ある程度その他の科目の勉強にも関連してくる場合もあるのです。
労働安全衛生法
労働安全衛生法は、職場における労働者の健康と安全を確保して、快適な作業環境を作ることを目的に定められた法律で、労働災害の防止や総合的で計画的な対策を推進するために活用されます。
もともと労働基準法の中に含まれていた法律ですが、労働災害防止団体法の一部と統合して作られた法律です。
いまは労働基準法と分かれて単独の法律なのですが、社会保険労務士試験においては労働基準法と一緒に試験問題に出題されています。
選択式試験では全40問中2問の出題であり、社会保険労務士試験の中では最も少ない出題数となっています。
労働基準法と合わせて5問の出題で、うち2〜3問の正解でこの科目は合格基準クリアとなります。
非常に範囲が広く多くの人が苦手とする労働基準法と一緒ですから、この労働安全衛生法の2問を確実に正解できるように勉強すれば労働基準法のカバーができるでしょう。
また、択一式試験では70問中3問の出題となります。労働基準法が難問揃いのため、この労働安全衛生法で確実に2問正解できるととても大きいです。
出題が少ないと軽視することなくしっかり取り組むことで満点を狙うこともできますから意外と重要な科目と言えます。
逆の発想で、労働基準法だけを完璧に修得すれば合格基準に達しますから、この労働安全衛生法は勉強しなくてもいいという考える受験生も多いようですが、労働基準法が難問な場合でも労働安全衛生法で基準点をクリアできるように、絶対に勉強しておくべき科目です。
ただでさえ範囲の広い労働基準法ですが、判例なども出題されますし問題文も長文で問題を読むだけで時間があります。
労働基準法が完璧に覚えて得意科目にすることが困難な科目なので、セットで出題される労働安全衛生法は確実に得点できるように準備しておくべきです。
得意科目にするためには、労働安全衛生法の答練を受講することをお勧めします。
集中して短期間で取り組んでみてください。きっと得意科目にすることができます。
私の場合も、最初は馴れない専門用語に戸惑いましたが、答練を受講して問題演習をこなすことで得意科目にすることができました。
労働者災害補償保険法
よく仕事が原因で怪我をしてしまった時、病気になってしまった時になど「これは労災がおりるだろう」などという話を聞いたことがあるでしょう。
この時の【労災】というのは、正式には労働者災害補償保険法といいます。
業務上の事由または会社に通勤する際に労働者が負傷・疾病・傷害・死亡などした場合に、迅速かつ公正な保護をするために適切な保険を給付する事を目的とした法律、保険制度になります。
この労働者災害補償保険法では、業務・通勤災害の認定、適用事業、給付基礎日額なども定められており、その種類も療養補償給付、傷害補償給付、介護補償給付、遺族補償年金、休業補償給付などさまざまあります。
この労働者災害補償保険法ですが、選択式問題では40問中5問出題され2点以上が合格基準となっています。
また択一式試験では70問中7問出題(残りの3問は徴収法)され、4点以上で合格基準となります。
労働者災害補償保険法に関する問題は、毎年同じようなことが出題される傾向にあります。
そのため、過去の問題などを中心に勉強すれば比較的得点が稼げる科目と言えます。
もちろん、この科目だけが良くても他の科目が合格基準に達しなければ不合格になりますが、総得点も関係してきますから、比較的得点しやすいと言われるこの科目で確実に得点を獲得しておくといいでしょう。
逆にいえば、この科目で苦戦するようなら社会保険労務士試験の合格は厳しくなるかもしれません。
雇用保険法
最近不景気が続き、会社からリストラにあったり、会社そのものが倒産したりして失業してしまう人も多くなっています。
また早期退職を勧められ、定年前に退職金を多くもらって退職する人もいるでしょう。
そういった失業した人には、その就業期間や年齢などによって金額や給付期間は異なりますが、失業給付金が支給されます。
また雇用の継続などを目的とした雇用継続給付などもあります。
こういった制度を定めている法律が雇用保険法と言います。
実際、勉強してみた印象ですが、この雇用保険法という法律は他の科目と違って本人の意思という非常にあやふやな基準が優先されている感じはして勉強していても手ごたえを感じられない科目でした。また、暗記することが多い科目という印象もありました。
雇用保険法では、基本手当の日額、給付日数、どういったケースが給付され、逆に給付されないケースはどんな場合なのかということを定められています。
社会保険労務士の資格試験では雇用保険法も出題され、選択式試験では40問中5問の出題で、合格基準は3点以上、択一式問題では70問中7問(残り3問は徴収法)で合格基準は4点以上となっています。
雇用保険法は給付金の日数、金額などの計算問題も比較的多く出題されます。
また給付される条件なども覚えておくと比較的得点が稼ぎやすい科目とも言えます。
雇用保険法の勉強方法としては、実際に失業した場合などをシュミレーションしてみると比較的覚えやすいかもしれません。
今自分ならどれくらいの給付金をもらえるのか、という事を考えてみるといいでしょう。
近年、失業する人が多くいますから、こういった雇用保険法に関する知識は社会保険労務士試験の合否に関わらず覚えておくといろいろ活用できることでしょう。
社会保険労務士試験の徴収法
労働災害補償保険(労災)や雇用保険の保険料を徴収するために定められた法律が労働保険料徴収法(徴収法)といいます。
この徴収法に関しても社会保険労務士試験では出題されます。
ですが、他の科目と違うところは、選択式試験ではほとんど出題されることがなく、択一式試験のみ出題される傾向にあるということです。
そのため、まずは択一式試験に重点を置いて勉強していくようにするといいかもしれません。
徴収法といっても、その法律のみの問題というよりは、労働災害補償保険法や雇用保険法などと連動して勉強することが出来ます。
択一式試験では全部で70問出題されますが、徴収法に関わる問題は労働災害補償保険の徴収法が3問、雇用保険の徴収法が3問、と合計で6問の出題となります。
そのほとんどが保険料の計算問題となっていますから、計算方法をしっかりマスターしておく必要があります。
実際の試験では、計算機などは使用できませんから、それを見越して勉強することです。
こういった計算問題は、暗記と言うよりもトレーニングが必要とされます。
そのため、スムーズに計算できるように何度も計算してみるといいでしょう。徴収法の計算で時間をかけてしまうと他の問題にもしわ寄せがきてしまいますから、スムーズにクリアできるようにしておくといいでしょう。
他の科目は、どこが出るか分からないのですが、徴収法に関してはある程度確実に得点が取れる科目です。
そのため、ここは間違えないように確実に点数を重ね、他の問題のカバーが出来るようにしたいです。
健康保険法
健康保険法とは、会社以外の場面で病気やけがをした場合に保証してくれる法律になります。
そのため、ほとんどの人が比較的なじみやすい法律と言えるかもしれません。
逆に会社の業務または通勤で怪我をしてしまったときなどは、労働者災害補償保険法(労災)が適用されます。
社会保険労務士試験でも健康保険法は出題され、選択式問題では40問中5問の出題で3問以上の正解で合格基準に達します。
また択一式問題では70問中10問出題され、うち4問以上の正解で合格基準になります。
社会保険労務士試験では、労働基準法や雇用保険法など、人によってはあまり身近に必要としない法律が多いです。
その中で健康保険法はほとんどの人が対象となるような法律ですから、自分に置き変えて勉強できますからある程度理解しやすい科目と言えます。
たいていは保険の給付全般についての出題が多く、計算問題も多く出題される傾向があります。
健康保険法は範囲は広いですが勉強しやすい部分でもありますから確実に点を稼げる科目のようです。
ただ、気をつけなければいけないのが、健康保険に関する問題は法律改正が起こりうる部分ですから、法改正はチェックしておかなければいけません。
逆に、法改正は出題される傾向が高いので、そこを重点的に勉強して確実に点数をとれるようにしましょう。
また、健康保険法は、その他の国民年金法や厚生年金保険法、一般常識の基礎となる科目ですから、それらの勉強の前に確実に修得しておくことが必要でしょう。
国民年金法
自営業などの人が加入を義務付けられているのが国民年金です。
会社員の人は厚生年金になりますが、それ以外の人はおそらく毎月国民年金を支払っているでしょうから、ある程度勉強しやすい項目と言えるかもしれません。
とはいっても、実際は会社員も厚生年金や共済年金に加入していれば、自動的に国民年金にも加入していることになりますから、会社員の人もまるっきり関係のない法律ではありません。
社会保険労務士試験においての国民年金法の問題は、選択式試験で40問中5問の出題となります。
そのうち3問の正解が合格基準ですが、正解率が悪い年度は2問で基準点をクリアする救済措置をすることも多い科目です。
また択一式試験では、70問中10問の出題で、4問以上の正解が合格の足切りラインになります。
国民年金は制度の仕組みとして厚生年金よりは複雑ではありませんから、厚生年金法よりは覚えやすい科目と言えるでしょう。
たまに、合格体験記で厚生年金は得意科目で国民年金が苦手科目と書いている合格者がいますが、基本的にそんなことはありません。
法の仕組みとして厚生年金のほうがはるかに複雑なので・・・。
おそらく、たまたま模試の成績で厚生年金が良くて国民年金が悪かったのだと思います。
ただ、あくまで厚生年金法と比べて相対的にやさしいというだけで、ある意味、科目自体はとんでもなく難解であるともいえます。
年金の免除制度、合算対象期間など複雑な制度もかかわってきますから、どれだけでも難しい問題が作れる科目です。
過去によく出題される問題を中心にマスターし、重要項目を重点的に勉強すれば比較的点数が取りやすい科目です。
ただ、国民年金法は比較的法改正が頻繁に行われます。
そのため、その法改正はしっかり把握しておかなければいけないでしょう。
よく、何回も社会保険労務士試験に挑戦している人は、「国民年金法は大丈夫」と勉強しない人もいるようです。
ですが、法改正があれば確実に得点が取れるところをミスしてしまうことにもなりかねませんから要注意です。
厚生年金保険法
一般的に企業に勤めている人が加入する年金が厚生年金です。
厚生年金保険法は、そういった会社勤めの人の年金制度に関して定めた法律になります。
国民年金は、自営業や主婦の人などが加入しており、通帳から引き落としされているでしょうから、「払っている」という意識が強いでしょうが、厚生年金は会社側が給料から天引きされていますから気がつかない人も多いかと思いますが、ほとんどの会社では確実に徴収されています。
社会保険労務士試験で厚生年金法に関する問題は、選択式試験で40問中5問出題され、合格基準が2問以上の正解と他の科目よりも低く設定されています。
また択一式試験では70問中10問でそのうち合格基準は4問以上の正解となっています。
国民年金法は比較的勉強しやすいのですが、厚生年金法に関してはかなり複雑になっており、社会保険労務士試験のなかでも非常に勉強するのが困難な科目と言えます。
そのため、この厚生年金保険法で不合格となる人が結構いるのです。
さらに、国民年金法同様、厚生年金保険法も法改正が頻繁に行われる科目ですから、法改正についてもチェックしておかなければいけません。
試験では主に老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金がまんべんなく出題されていますが、特に老齢厚生年金についての出題は毎年多いうえ、勉強するボリュームが多いのでじっくり時間をかけて取り組む必要があるでしょう。
また、国民年金法も同じ年金法ですから、比較しながら勉強した方が理解しやすいと思います。