選択式の対策は意外と単純?
見たことがない問題をいきなり本番で解かされるということは恐怖以外の何物でもありませんが、他の受験生も同じこと。ビビるよりもどう対策するかですね。
ちょっとしたコツを覚えるだけで選択式の対策ができるんです。
<事例3> 出典:「労務管理その他の労働に関する一般常識」
労務管理その他の労働に関する一般常識
[問4] 次の文中の1234の部分を選択肢の中の適当な語句で埋め,完全な文章とせよ。
政府は、雇用失業の現状を把握する重要な調査として、総務省統計局において、標本調査により、全国の世帯とその構成員を対象に、毎月、 A 調査を実施している。この調査に基づき労働力人口比率、 B 、 C などが発表されている。
労働力人口比率は、 D 以上の人口に占める労働力人口の割合と定義され、百分比で表示されており、 B は、労働力人口と就業者数との差である。
C は、労働力人口に占める B の割合と定義され、百分比で表示されている。ちなみに、平成15年の年平均の C の実数値は E と発表されている。
選択肢
@ 家計 A 完全失業者数 B 完全失業率 C 国勢
D 雇用者比率 E 就職率 F 生産年齢人口 G 非労働力人口 H 毎月勤労統計
I 有効求職者数 J 有効求人倍率 K 労働力
N0.64倍 M 4.8% N 5.3%
O 60.8% P 15歳 Q 16歳 R 18歳
S 20歳
この設問は比較的正解率が高かったようで、合格レベルの受験生にとってはそれほど足切りを心配するケースは少なかったかもしれません。
しかし、まったく想定していなかった出題範囲だったという方にとってはかなりの難問といえます。
なぜなら、知らないと確実には解けない箇所が3箇所あるからです。
つまり、確率に頼るしかありません。
そこで、残りの2問については、確実に正解しておきたいところです。
では、例によって、まず図式化によって文章構成を分解していきます。
<図1>
毎月勤労統計調査
・労働力人口比に基づき
・B 数 が発表される
労働力調査
・C 率
左の調査によって、右の3つのデータが公表されると書かれています。
次に、 B は、「労働力人口と就業者数との差」であると書かれていることから、「 数」という語句であることがわかります。
また、 C については、「百分比で表示されている」と書かれていますので、「 率」という語句であることがわかります。
選択肢から当てはめていくと、 B 、 C 、 E に当てはまる正解の組み合わせとしては、
<図2>
<組み合わせ1> <組み合わせ2>
B有効求職者数完全失業者数
C有効求人倍率完全失業率
E0.64倍4.8% または5.3%
この2つの組み合わせになります。
どちらの組み合わせを選ぶかによって、5問中、3問の正解・不正解が変わってきますので、さらに検証していきます。
<図3>
有効求職者数
労働力人口
完全失業者数
労働力人口
図3の式は書かれている文章から考えた式ですが、式の構成として正しいのかどうか考えてみました。
すると、「有効求人倍率」とは、「労働力人口」に占める「有効求職者数」ではなく、求人数に対する求職者数の割合でないとおかしいということがわかります。
また、 B に入る数値は、「百分比で表示されている」と書かれています。
この記述を読む限り、「有効求人倍率」の「倍率」という表現では百分比で表示されていませんので正解ではないということがわかります。
したがって、正しい組み合わせは、<組み合わせ2> の、
B =完全失業者数
C =完全失業率
E =4.8%または5.3%
だと推測できました。
残りの選択肢 A 、 D 、については、確率論になるのですが、候補の語句としては、
A =毎月勤労統計 または 労働力
D =15歳 または 16歳 または 18歳 または 20歳が入ることになります。
なお、この事例では解答3箇所がそれぞれ互換性をもっているため、どの組み合わせを選ぶかによって正解数が大きく変わってきます。
この事例に限らず、解答同士が関連性をもっている場合には、ひとつ間違えると他の関連する解答も連動して間違えてしまうことになります。
さらに、解答が連動している場合でも、上記の
E =4.8% または5.3%
のように、さらに複数の選択を迫られる場合もあります。
ここにも選択式の怖さがあるといえるでしょう。
そこで、確実にあと1問が拾いたいというケースで、解答2箇所に似たような語句が入るという場合、「同じ選択肢を2箇所とも解答する」ということもケースによっては考えなくてはいけないでしょう。
例えば、解答 A 、 B には、選択肢を絞り込んでいった結果、「負傷」または「疾病」という選択肢のどちらかが入ると見当がついたとします。
この場合に、
A =「負傷」
B =「疾病」
として、2問とも正解であればいいのですが、実際の正解は組み合わせが逆であれば2問とも不正解となってしまいます。
一方、 C 、 D 、 E の中で、確実に正解だと確信できる解答は2つまでだったとしましょう。
この場合には、 A 、 B どちらにも「負傷」で解答すれば少なくとも1問は正解を拾えますので、その科目では確実に3問は正解でき、足切りは回避することができます。
・ケースによっては、同じ選択肢を重複して解答することで足切りを避ける。
ちなみに、この事例の正解は以下のとおりです。
政府は、雇用失業の現状を把握する重要な調査として、総務省統計局において、標本調査により、全国の世帯とその構成員を対象に、毎月、 A =労働力 調査を実施している。この調査に基づき労働力人口比率、 B =完全失業者数 、 C =完全失業率 などが発表されている。
労働力人口比率は、 D =15歳 以上の人口に占める労働力人口の割合と定義され、百分比で表示されており、 B =完全失業者数 は、労働力人口と就業者数との差である。
C =完全失業率 は、労働力人口に占める B =完全失業者数 の割合と定義され、百分比で表示されている。ちなみに、平成15年の年平均の C =完全失業率 の実数値は E =5.3% と発表されている。
最後に
選択式では5問中3問以上の正解という命題が課せられますから、これをクリアできるように最大限努力すべきです。
3点割れの心配がある問題は特に時間をかけて最後まで粘るべきです。
基準点をクリアしているか微妙な科目にだけ時間をかけるのです。
いくら総合点でよい成績であっても、1科目でも基準に達していなければ不合格の可能性は高いのです。
悔いを残して、また1年勉強することを考えれば、ここで思いっきり精一杯の努力をすべきでしょう。