社労士試験には厳正な合格基準があった!
社労士試験にガチで合格を目指す受験生であれば、択一式・選択式でそれぞれ何点・何割以上取れば合格できるのか、ある程度はご存知でしょう。
イメージとしては6割〜7割が合格ラインと思っている受験生は多いのではないでしょうか?
この6割とか7割という基準は、実際に多くの資格試験の合格ラインになっているので社労士試験も同じような感覚の方も多いのではないでしょうか?
でも、社労士試験はちょっと特殊な合格ラインがあるので、合格基準点なんて言われてもピンとこない方も多いかもしれません。
なんといっても、選択式は特殊ですから。
選択式の各科目はたった5点満点しかなくて、この中で6割以上である3点以上を死守しなければなりません。
ちょっと勉強した人でも解けるような問題が出る一方で、受験生のほとんどの人が読んだことがないような出題箇所が出題されます。しかもたまたまにではなくほぼ毎年繰り返されるわけですから、受験生は本試験で戸惑ってしまいます。
模試トップの受験生でも落ちる試験と言われる所以としては、この特殊な出題がされる選択式の存在が大きいですね。
運・不運がある試験とも言われています。
社労士試験の合格基準は実は決まっていた?
これ、実は一定のルールに基づいて決められているんですね。ちゃんと公表すらされているんです。
これから社労士試験に挑戦される方であれば、まずは試験合格基準をちゃんと把握しておきましょう。
httpss://www.mhlw.go.jp/content/11202000/000379093.pdf
原則となる合格基準は以下のようになります。
【択一式】
総得点 ・・・ 49点/70点 ※満点の7割以上
各科目 ・・・ 4点/10点
【選択式】総得点 ・・・ 28点/40点 ※満点の7割以上
各科目 ・・・ 3点/5点
つまり、択一式も選択式も7割以上の基準となっています。
「国民に分かりやすい簡易なものとすることが望ましい」ということから、
出題形式、過去の合格基準の動向、他の試験制度の現状を踏まえて、平成12年度本試験より、上記の合格基準が設定されたそうです。
これが基本ですから、受験生のあなたは、
- ・各科目の基準点を超えること
- ・総得点で7割を達成すること
を目標にして社労士試験に臨まなければなりません。
毎年の「救済」はどう決まる?
とはいえ、社労士試験では毎年の試験の難易度や受験生の正答率を踏まえ合格基準点の補正が行われています。
この補正は、社労士受験生の間では「救済」のキーワードでおなじみです。
そして、なんとこちらも明確な基準の元に行われていたんですね。
以下は、得点補正の原則的な方法です。
【総得点の補正】
選択式試験、択一式試験それぞれの総得点について、
1.前年度の平均点との差を小数第1位まで算出する
2.「1」で算出した数字を四捨五入し、換算した点数に応じて前年度の合格基準点を上げ下げする
※各科目の最低点引き下げを2科目以上行ったことにより、例年の合格率と比べ高くなるとき(概ね10%を目安)は、試験の水準維持を考慮し合格基準点を1点足し上げる。
【科目最低点の補正】
各科目の合格基準点(選択式3点、択一式4点)以上の受験者の占める割合が5割に満たない場合は、合格基準点を引き下げ補正する
ただし、以下の場合には補正は行われない
・引き下げ補正した合格基準点以上の受験者の占める割合が7割以上の場合
・引き下げ補正した合格基準点が、選択式で0点、択一式で2点以下となる場合
上記の基準を踏まえて、平成30年度では以下の合格基準で合否が判定されました。
合格基準点
(1)合格基準
本年度の合格基準は、次の2つの条件を満たしたものを合格とする。
@選択式試験は、総得点23点以上かつ各科目3点以上(ただし、「社会保険に関する一般常識」及び「国民年金法」は2点以上)である者
A択一式試験は、総得点45点以上かつ各科目4点以上である者
※上記合格基準は、試験の難易度に差が生じたことから、昨年度試験の合格基準を補正したものである。
(2)配点
@選択式試験は、各問1点とし、1科目5点満点、合計40点満点とする。
A択一式試験は、各問1点とし、1科目10点満点、合計70点満点とする。
平成30年度であれば、
【ただし、「社会保険に関する一般常識」及び「国民年金法」は2点以上)である者】
この部分が救済措置となりました。
ともすれば「さじ加減で行われているのでは?」とも思われかねない救済措置ですが一定のルールの元で行われていることを理解すれば、一応納得はいくかもしれません。
とはいえ、受験生の正答状況によって左右されることに変わりありませんから考え方は分かっても、実際には合格発表までは悶々とした日々を過ごすことになります。
「救済待ち」にならないための確かな対策を!
受験後に、救済を頼らずに合格を確信するためには当然のことながら、原則となる合格基準を上回る得点を確保しておくことです。
ただし、これは理想であって確実な手立ては存在しないと考えざるを得ません。
そうはいっても、手をこまねいているのも能がないというもの。
私も勉強中は常に社労士試験に確実に合格したいと考えていました。
でも100%確実な手立ては存在しませんでした。
択一式は確実に合格ラインに達することは可能だと思います。
でも、選択式を確実に合格ラインに持っていくことはそもそも不可能ではないかと思うのです。
ベテランの予備校講師ですら、選択式で毎回確実に合格点を取れると言い切れる人はいないのではないかと思うのです。
では、あきらめるしかないのかというと、それは違うなと・・・・
結局、合格の可能性をできるだけ高めるという意識が大事だと思います。
そのためには、択一式・選択式とも他の受験生が得点できるような問題は確実に得点できること。
選択式については、多くの受験生が合格基準をクリアできない科目は救済があることを想定しておくこと。
そして、選択式は本試験当日に未知の問題が必ず出題されることを前提に、文章から正解の肢を選び出す練習をしておくことなどが大事になると思います。
私が実践して大きく合格ラインを超える力を身に付けた具体的な勉強法は以下の通りです。
過去の試験問題を入手して繰り返しやり込む
社労士試験は過去問題の攻略は有効です。
他の難関資格試験が過去問題があまり参考にならないといわれる中、社労士試験だけは過去問題が繰り返し出題される傾向があります。
市販の過去問題は今後ほぼ出題されないような問題も収録されているので必ずしも効率的とは言い切れません。
繰り返し出題されるポイントを確実に抑えることが重要なので単なる過去問題が収録された問題集より、過去問題と周辺の出題されそうなポイントを抑えた問題演習が最も社労士試験に合格できる合格力が身に付くでしょう。
最もお勧めできる勉強の教材、それは、資格学校が作成している答練の問題です。
ベテランの講師陣が過去問題を分析して最適な良質の問題を数多く繰り返し解いて仕上げることで合格ラインをクリアできます。
ポイントとしては、最初のうちは解けなくても当たり前なので、解こうと思わないことです。
問題文と解答と解説をまるごと読んでしまってかまいません。
科目の概要が把握できるようになったら、問題文に関する説明を教科書から探して読むと、出題ポイントの周辺の知識も広がって法律の仕組みもわかってきます。
教科書ばかり繰り返す勉強法とは離別して問題集に特化した勉強で良質な問題を大量に解いて合格力を確実にあげてほしいですね。
必要な範囲の習得のためにひたすら問題演習を繰り返す
教科書や参考書、そして六法全書等は、社労士の試験科目を解くための理屈や体系を把握する点では有効です。
ただそればかりに頼って本試験直前にやっと問題演習に取り組むという学習計画ではほぼ失敗知るでしょう。
車の運転で学科をどんだけ頑張ってもうまく運転できるようにはなりません。
やっぱり路上運転しないと運転スキルは上がりません。これと理屈は一緒だと思っています。
そしてすべての問題が完璧に解けるようになるまで繰り返し解いていくこと。中途半端な知識は本試験では全く役に立ちません
確実な知識だけが本試験での拠り所になるのです。
正解できた問題は繰り返す必要もありません。効率が悪いです。できなかった問題だけを次にやること。
出来ない問題は繰り返してもまた間違えます。自分でもあきれるくらい間違えます。
でも、他の受験生も同じなのでそういうものだと思って落ち込まないこと。