社労士試験合格者の年齢構成と受験回数・合格率
社労士合格者の受験資格
社会保険労務士の受験資格は、いくつかの条件に分かれています。大きく分けると学歴、実務経験、厚生労働大臣が認めた国家試験に合格という3種類です。
学歴と実務経験がそれぞれ5項目、厚生労働大臣が認めた国家資格は3項目に分かれています。
計13種類の条件をどれか1つ満たしていれば、社会保険労務士の受験資格が与えられます。
そして受験資格のある人は、受験資格証明書を提出してから試験を受けます。
簡単な見方としては、短大以上で受験資格あり。高卒の場合は、他の国家資格(行政書士など)を合格してから受験。こんなパターンが多いのかなと思います。
社労士合格者の年齢層
次に試験合格者の年齢層です。
受験資格を満たしていれば受験可能という事から、社会保険労務士の受験者の年齢も幅広くなっています。
近年の受験者を年代別に比較してみましょう。
どんな年代が多いのか、もっとも目立つのは30代・40代のサラリーマンの方で、企業に勤める中で職務上の理由により資格取得をしたというケースが多いようです。
細かくみていくと、10代から20代は11.8%、30代は最も多い40.7%、40代は2番目に多い28.5%、50代が13.3%で60代以上が5.7%となっています。
最年少だと19歳とかみえますし、最年長では70代後半の方もいます。
社労士合格者の受験回数
受験回数については、一発合格する人もいますが、何度目かの挑戦で合格する人が多いようです。
実際に私の知り合いの社労士合格者の多くは再受験者で1発合格者は少なかったです。
私の周りでは、50代以上の方だと5回、6回と受験している方が多かったですね。
確かに、40代・50代の方に目を向けていると、合格者の割合が年々増加している傾向があります。いずれの年代でも、企業内で総務・人事などに所属する方の場合は、いずれの職種においても社会保険労務士の資格を有すると業務に有利という考え方もあるでしょう。
一方で、社命ではなく個人で受験する方も非常に多くなっており、これは一向に改善することが無い景気に不安を感じ、転職や再就職を目指しているという事情が伺えます。
また人によっては会社に勤めているうちに人脈を作っておき、そのうち独立開業を目指すという方もおります。
不景気になれば、資格取得の熱が高まるということでしょうね。
社会保険労務士として一度独立すれば、需要が高まりつつあることもプラスに作用して、その後も安定した収入を保つことができます。受験予備校では、そんな謳い文句で社労士受験生を囲い込んでいるようにも見えます。
社労士試験に合格すれば人生バラ色になれるのでしょうか?
開業しても、お客様を集められなければ当然商売は続けられません。
頼りない感じの社労士の先生では、事業主からしたら顧問として契約しようとは思わないはずです。
しかし、私の視点でしかないのですが、自分の周りの社労士試験の合格者の知り合いの場合ですと、営業力があるそうでない方でも社労士としてしっかり経営している方が実は多いです。
私の周りだけかもしれませんが、社労士で開業した人はほぼみなさんが、
「この社労士資格で飯を食べていけてる」という印象です。
営業力というより、しっかり勉強して顧客の信頼を得られれば、対人能力が高くなくてもある意味良いのかという面も感じます。
また、前職で専門的な経験や知識があると有利かなと思います。
例えば、工場の安全衛生の担当を長くやっていた方は、その方面で顧問も増やしましたし、講師として声がかかり、そこから出版までつなげられました。
派遣会社で人事をやっていた人はその経験がかなり社労士業に役立っていました。
また開業だけが社労士資格を生かせる道ではありません。
合格しただけではダメだとは思いますが、勉強したことをブラッシュアップして、今まで挙げたようにいろんな道に生かすことができると思います。
大学の社労士講座の講師をやったり、ハローワークで相談員をやったりと、社労士資格や知識がけっこう役立っている、そんな印象ですね。
私自身はどうかというと、自分は開業の道は選ばず、知識を生かした職を見つけて今を生きています。
道は色々。自分で考えて資格を生かす道を探していただければと思います。
働きながらでも社労士試験に合格できるか?
社会保険労務士試験に働きながらでも合格する事は十分可能です。実際に働きながら社会保険労務士になった人もたくさんいますし、近年の合格者を年代別に見ても、30代が一番多く次いで40代と働く世代の合格者が多くなっています。
社会人が合格者の大半を占めているということですね。それはつまり、働きながらでも社労士試験は十分合格できるということです。
しかし働きながらの場合は、仕事もしなければいけませんので、受験勉強に使える時間が限られてしまいます。中には科目免除や公務員特例の免除もありますが、ごく一部に限られます。
社労士試験は、特に働きながらも合格可能な最難関資格といわれています。
社労士試験より難しいと一般的に考えられている司法試験や公認会計士試験、司法書士試験などは、働きながらの合格はほぼ無理と言われています。
時間がないとあきらめる必要はなく、合格者は限られた時間の中で勉強して合格の栄冠を勝ち取っているわけです。
とはいっても独学は厳しいかなと。
私の周りにもほとんどいませんでした。
私が社労士試験に合格してから、合格者の会のようなものに出席したときの話ですが、15人ほどの合格者の中で独学合格者は2人だけでした。
その方の一人は失業保険をもらいながら受験した人で、もう一人は無職で勉強に専念できる環境の人でした。そのとき、意外と独学の方の割合って少ないと思ったんです。
社労士試験に合格したのはもはや10年以上前になりますが、当時の合格者の多くは通学者でした。
割合からいけば当時、通学での合格者は全体の合格者の8割を超えていたのではないでしょうか?
でも、今は逆に通信講座で合格している合格者の方が圧倒的に多いのではないかと思います。
WEB対応の通信講座ならスマホの画面ですぐ勉強できる環境にすることができますので、自分で勉強時間を作っていけるといいですね。
今はネット社会ですから、スマホでも勉強に必要な情報は十分入手できますし、社労士講座の講義自体もネット配信で手軽に聞けるようになりました。
電車の移動や車通勤などでも、今は手軽にスマホで勉強できるのですから活用しない手はありません。
とはいっても、効率よく合格力を身に付けるには、勉強方法の工夫も余計に必要になってくると感じます。
背水の陣は危険と隣り合わせ
よく、背水の陣で試験に臨めば良い結果が出るとか合格の可能性が上がるといわれますが、私の個人的な感想では、その考えは少し危険なようにも感じています。
その後、色々な資格合格本などを読んだりして知ったのですが、背水の陣で勉強していると、
「今度受からなかったら後がない」と思うと、人間力んでしまって必死さが冷静さを奪ってしまうそうです。
その結果、知識優先になってしまって膨大な量をひたすら覚えようという意識が強くなる傾向になります。
すると、
⇒範囲を広げてしまいがちで頻出範囲をしっかりマスターできない
⇒確実に正解すべき問題を落としてしまう
⇒得点が伸びない
こんな結果に陥ってしまうことが往々にして起こってしまうのです。
数%の合格者の中に入るためには、他の一般的な受験生と同じことをしていてはダメだということはお分かりになるでしょう。
社会保険労務士の試験は、出題範囲がとても広く試験範囲の広さに圧倒される事も多々あります。
また、「社労士試験って確実な合格が保障されない試験」だなとつくづく思います。
どういうことかというと、毎回、模擬試験で一番を取れる実力がある受験生でさえ、確実に合格できない可能性を十分にはらんでいるということですね。
その原因としては、択一式と足きりの存在があります。
ほとんどの受験生が読んだこともないような問題文が出題される割に、5問中原則3問以上の足切りラインをクリアしなければなりません。
背水の陣で試験に臨んでも、どんな実力者でも不合格の可能性があるわけですから、運という要素をどうしてもして切れないという面はあることを理解していただければと思います。
ただし、そうはいっても必ず合格するという覚悟は必要だと思います。
「ズルズル勉強していたらいつしか合格した」なんてことはなく、合格したいという強い思いは絶対大切なんだと思います。
社労士試験に合格した周りの方も、受かればいいなという緩い考え方の方はあまりいなくて、今回必ず試験に合格するという決意で勉強してきた方ばかりでした。
私の場合ですが、受験2年目はかなりの勉強時間を費やしたので、家族とのかかわりなど、多くのことを犠牲にして勉強したという感じでした。
そうすると、
「もし今年不合格でも、社労士試験に合格するまでは受験はあきらめられないな」
という思いもしました。
よく、司法試験で一流大学を出て何年も受験しても合格できなくて、でもあきらめられない、という話を聞きますが、その気持ちはわかる気がします。
私の場合は、1年でも早く合格するために、少しでも合格の確率を上げるために、どうしたらいいかを常に考えていたと思います。
働きながら社会保険労務士試験に合格するために
通学や通信教育など資格の学校を最大限に利用するということが合格の確率を上げる一番の近道であると思います。
独学との比較として、通学や通信教育のメリットとしては、必要な教材があらかじめ揃っている事です。独学が厳しいのは、一体どこまで勉強すれば合格ラインなのかイメージしにくいんですね。
一方、通学や通信講座であれば、与えられた教材をマスターすれば合格ラインじゃないかという目安ができます。これが大きいです。
問題集やテキストも、過去の試験問題や出題傾向を元に作られているので、受験勉強の時間が限られている人でも効率よく学べます。
特に通信講座の教材は、受験が初めての人にもわかりやすい構成になっており、試験範囲の広い社会保険労務士の試験に臨むためのアドバイスなどもしてもらえます。
通信講座のコース内容も様々ですが、最短6ヶ月で社会保険労務士の資格取得も可能になるなど、試験までの時間に合わせたコース選びも可能です。
以前の通信講座といえば、教材一式が送られてきて、定期的に課題を提出して添削を受けるという形式のものが多かったのですが、今は違います。
電子データとして講義や教材が提供され、受講生はパソコンやスマートフォン、タブレットなどインターネットにつながる環境がれば場所を選ばず講義に参加できます。
テキストだけの勉強では不安な人も、自分のペースで学べるというのも通信教育の大きなメリットです。
ただし講座の中にはかなりのボリュームがある場合があります。
特に初学者向けの講座に多いのですが、基本講座からメイン講座、直前対策講座、答練講座、法改正講座、白書講座、年金講座、制度横断講座、総まとめ講座、などなど、色々な名称で講座がセットになっていたりします。
すべての講座に取り組もうとすると、あまりのボリュームに圧倒されてすべてが中途半端になる可能性が高いです。
受験予備校としては、費用が取れる総合講座を受講してもらうことが一番いいですが、受験生の立場からすれば、勉強時間や期間が少ない場合は、教材をしっかり絞って学習しないと絶対中途半端になります。
総合講座を受講するのは問題ないですが、すべてやらなければいけないと考えることが危険なんです。
自分のできる範囲で講座を絞って受講しないと合格には程遠いという結果になってしまいがちですから、ここは十分注意して取り組んでいただきたいと思います。
実際に、私の場合も総合講座に申し込み、次々に教材が送られてきて、とても焦った記憶があります。試験直前に直前講座と題して、かなりのボリュームの教材が送られてきました。
確かに、内容を一読すると魅力的ではありましたが、とてもこなす時間はないと判断して全く手を付けませんでした。そして、それまで取り組んできた教材を完璧に仕上げることに集中しました。
結果は高得点で合格できましたので、その時、手を広げずに集中して取り組んで本当に良かったと実感しました。